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2019年3月23日(土) 高齢者のいきがい就労を応援する「総合フェア」を開催しました!! 

熊本日日新聞社主催の「熊日いきいきライフフェア」との共催により熊本県民交流館パレアにおいて、「長寿で輝く」くまもとを目指して、元気な高齢者のいきがい就労を応援する「総合フェア」を開催しました。

当日は、人生100年時代の新しい生き方、働き方を考え、生涯現役「長寿社会に生きる」をテーマに、東京大学高齢社会総合研究機構の特任教授 秋山弘子氏を講師に迎え、講演会を開催。

メインブースでは、しごと体験動画の放映や就労相談を行い、各ブースにおいて協議会会員からも「JA熊本中央会・連合会」「熊本県シルバー人材センター連合会」「熊本県福祉人材・研修センター」「産業雇用安定センター熊本事務所」に参加いただき、就労相談等に対応いただきました。

特別参加として「セブンーイレブン・ジャパン」にもレジ打ち体験を実施していただきました。

この様に盛りだくさんのイベントを行い、多くの来場者においでいただき、最終的には約1,300名となり、大盛況のうちに無事、閉幕いたしました。

【応援に駆けつけた帰ってきたウルトラマン】

会場の入口横では、帰ってきたウルトラマンによる握手会や写真撮影会を開催。

お子さまから高齢者の方まで世代を問わず、懐かしく楽しいひとときを過ごされていました。

 

【しごと体験の好事例を紹介する動画放映シーン】

当協議会のメインブースでは、重点取組みである「福祉・医療」「商工業」「農業」の3業種に焦点を当て、実際に元気で楽しく働かれている高齢者の方3名の活躍ぶりを動画放映いたしました。

一人目は介護老人保健施設で介護アシスタントとしてお勤めの70歳代の男性。

二人目はコンビニエンスストアでお勤めの70歳代の女性。

三人目はJAたまな北部集荷センターでお勤めの60歳代男性。

いずれの方も元気で楽しく「いきがい就労」を実践されている方で、放映をご覧になられた皆さんも大変興味深い面持ちで拝聴され、その働きぶりに共感を覚えられ、いきがい就労への意識醸成につながった結果となりました。

 

【当協議会会員の各就労相談ブース】

 

【JA熊本中央会・連合会】

 

【熊本県シルバー人材センター連合会】

 

【熊本県福祉人材・研修センター】

 

【産業雇用安定センター熊本事務所】

 

【レジ打ち体験】 出展協力:セブンーイレブン

 

【当協議会の就労相談コーナー】

 

 

■秋山弘子氏を講師に迎え「いきいき講演会」を開催 [9F会議室]

【講師】 東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授 秋山弘子氏

【聴講風景】

 

○講演資料の  P1~P28はこちら P29~P61はこちら をご覧ください。

○講演内容

「長寿社会に生きる」

 

東京大学高齢社会総合研究機構

秋山弘子特任教授

 

本日は二部構成とし、一部は2030年が間近に迫っているが、何が問題となっているのか統計を用いながら現状を説明し、二部は千葉の柏市の「長寿社会のまちづくり」の事業であるセカンドライフの就労事業について紹介したい。

 

人生100年時代をどう生きるかということ。長寿社会の課題としては、大きく3つあり、個人、社会、産業界の課題があるとしているが、本日は個人の課題についてお話したい。

 

<個人の課題:人生100年を自ら設計し、舵取りして生きる>

数年前「ライフシフト」という本がベストセラーになった。人生100年時代をどう生きるかというもの。政府は、「人生100年時代構想会議」を設置し、長寿社会への課題解消に努めている。

日本では人生50年という時代が長く続いた。織田信長が仕舞いで「人生50年」と謡い、第2次世界大戦が終結した時も平均寿命は60歳に達していなかった。その後に平均寿命は30年延び、今は人生100年と言われる時代。

以前、女性は「25歳までに結婚して2、3人の子どもを育て上げる」という社会的プレッシャーがあった。皆が同じレールに乗っていなければならなかった。それが、人生が倍になって社会的プレッシャーが弱くなり、100年の人生を自ら設計して舵取りして生きていく時代になった。私にとってはうらやましい時代であるが、学生は嬉しい顔をしない。それは自由に生きていいと言われても、モデルがないし、どうやっていいのか判らないから。雇用を含めて社会制度が対応できていない。

個人の課題は、人生100年時代、自ら設計してカジ取りしながら生きていくということ。

 

<ジェロントロジー(老年学、加齢学)とは?年齢と健康の関係は?>

高齢者が生活しやすい社会をどういうふうに創っていくかという学問、人の生活のあらゆる面に関わっている。

〇ジェロントロジーの歴史

初めは人の寿命をどこまで延ばすことができるかということがテーマとして老化の原因を究明してきた。1970年代になると、人口の高齢化に伴い医療や年金制度などの社会制度のあり方が問題になり、社会科学の問題にもなった。1980年代になると人の寿命を延ばすことはある程度達成されたが、周りを見渡すと寝たきりの高齢者や、定年後何をしたらいいのかなどと戸惑う高齢者の存在が顕在化した。この頃には「粗大ごみ」「濡れ落ち葉」などの言葉が流行し、高齢期の生活の質(Quality of Life)を維持、向上することが課題となった。それは医学だけで解決できる問題ではなく、法学とか、工学とか、学際的なさまざまな分野が連携して課題解決にあたることとなった。

〇サクセスフル・エイジング(Successful Aging)

その時の中心的な理論がアメリカで提唱されたサクセスフル・エイジングである。うまい年の取り方の3つの条件が示された。まず①健康であること、②身体機能と認知機能を維持していること、三番目が③人生への積極的な関与、社会とつながって、貢献していることとしている。この理論が大きなインパクトを与え10年の研究成果として本にまとめられた。

その一部を紹介すると、この3つの条件が遺伝子によって左右されるのは25%であり、75%はその人の生活習慣、生き方によって達成できるものであるとするもの。

人間の能力はどのように発達して、衰えていくのかという発達曲線が示されている。以前は生まれた時にはほとんど何もできなくて、20代でピークに達してその後は衰えていくというものが50年前の考え方であった。ところが、サクセスフル・エイジングの研究結果によると、能力によって発達曲線は異なることが明らかにされた。

短期の記憶能力は従前と同じであるが、同じ認知能力であっても言語能力は60代、70代になっても伸びる。日常問題解決能力も同様であることが明らかになっている。

逆に、使わない能力はなくなってしまう。たとえば、産まれたときはすべての言語の音声を弁別できる能力を持っているが、日本語の環境で育つと2歳になる前にRとLの弁別能力を喪失してしまう。40歳で伸びる能力と落ちてしまう能力があり、高齢者の能力の変化は多次元で多方向である。重要なことは、人生の各段階で能力を最大限に活用して生きることである。

〇高齢者は若返っている

歩行速度は老化をみるよい指標。高齢者の「通常歩行速度」は1992年と2002年を比較すると男女とも11歳若返っている。75歳で高齢者、65歳は准高齢者と日本老年学会などから高齢者の定義の見直しが提言されている。

約6000人を対象に全国高齢者パネル調査を実施、人が年をとることで健康、経済、人間関係がどのように変化するかを追跡調査したもの。自立度の変化パターン(資料23ページ)からみると、男性のうち1割は生活習慣病で死亡する、7割は70代半ばまでは元気だが、それ以降は自立度が低下していく。女性は1割の人が70代前に亡くなる。9割の人が70代前半から自立度が落ちていく。足腰が悪くなる、つまり、女性は長生きするが、ある程度の障害を持ちながら長生きするということ。

25ページの資料は、1回目の調査の時に元気だった人が20年後にはどのような健康状態にあるかという調査結果。男性は半分以上が亡くなっている。残りのは障害を持って生きている人と、元気に生きている人に分けることができる。20年後にも元気だった人と死亡・障害グループを区分する要因は何かを分析した。それによると、男性は1回目の調査時に団体やグループに参加して活動していたか、女性は精神的な自立、自分で判断し行動していたかによって区分される。男性は会社からのつながりから離れて、地域に還ったとき他の団体に所属していると人間関係の再構築がしやすい、水平な付き合い方を知っているからだと考えられる。女性は配偶者に先立たれる人が多いので、自分で判断して行動できるか、つまり一人になった時にうまく適応できることが大きな要因。

 

<人生100年、延長した高齢期をどうデザインするか?>

次世代のシニア高齢者(50~60歳)に対して、「あなたが高齢者になった時に何をやりたいですか」と訊いたところ、第1位は「働きたい」、第2位は「自分を磨く、つまり、学ぶということ」、決して盆栽の手入れをして、孫の世話をして、お迎えを待つという従来の穏やかな老後生活を想定していない。セカンドライフの特典は、時間がある、ある程度の収入がある、知識やスキルもある、人のネットワークも広い、多くの人は元気。どう生きようと自由。人生にこんなにいい時期はない。セカンドライフの設計には、「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「休む」をうまく組み合わせることをお薦めする。

〇社会全体の支えあい構造の見直しが必要

35ページの資料をみれば、肩車型の支えあいになったら日本の社会が成り立たない。日本だけの問題ではないが、欧米はこれに対応するために外国から若い労働者を支える側に入れている。日本の場合、上に乗っている高齢者が非常に元気で、自分は支えられる側ではなく、支える側でありたいと思っている高齢者が多いという特徴がある。

36ページの資料は、高齢者の医療費と就労率の相関関係、ゆるやかな相関があることを示している。因果関係はわからないが、働くことと元気だということは関係がある。

 

<長寿社会のまちづくり>

この数年間、私達が取り組んでいるのが「長寿社会のまちづくり」。今の「まち」は、人口がピラミッド型の時代にできたものであり、子供たちがたくさんいて、高齢者が5%程度しかいなかった時代のもの。高齢者が長生きして、高齢者の割合が大きくなっている今の時代に応えるものにしなくてはいけない。住宅であったり、移動手段であったり、医療介護の制度を変えていくことが必要。その中で高齢者に活躍していただく場もつくろうということで、プロジェクトをいくつか立ち上げて、行政や企業、市民の方々と一緒に課題解決に取り組んでいる。フィールドはひとつが首都圏の典型的な都市である千葉県の柏市、もう一つが地方の都市である福井市。本日は、柏市での就労、社会参加、いきがいづくりの取り組みを紹介したい。

〇柏市

柏市は典型的なベットタウン、そこに定年退職した多くの人が帰ってきた。そういう人達にインタビューすると、「することがない」「行くところがない」「話し相手がいない」だった。現役時代は、朝早く家を出て東京で働き、夜遅く帰ってきていたから、近所の人を知らない。元気があるし、能力もあるし、スキルもあるけど何をしていいか判らない。結局は家でテレビを観て、犬の散歩となる。川柳に「定年後 犬も閉口 五度目の散歩」。奥さんに迷惑がかかり、犬にも迷惑がかかる、一番迷惑がかかるのは自分自身。終日テレビを観ていると脳も筋肉も衰える。どうにかして外に出て、人と交わって活動してもらいたい。スポーツでも、生涯学習でも、ボランティアでもいいのだが、なかなか動かない。名刺がない、人との付き合い方が判らない。そのうちに思いながら重い腰があがらない。一番外にでやすいのは仕事。その仕事も自転車で、歩いて行けるところとなる。

まずは仕事をたくさんつくった。柏は利根川流域の肥沃な土地で、住宅地の中に高齢化もあって農地が休耕地として残っている。これは活用できる地域資源。夫婦で働きに出ていることもあり、学童保育のニーズが高い。こういうものを取り入れて仕事をつくった。資料41ページの上の3つは農業、保育が2つ、合わせて計8つの領域で仕事を開拓した。右側が事業者であり、なるだけ地元の事業者にお願いした。仕事なので少なくとも最低賃金は支払うことが条件。

もう一つは、セカンドライフはマラソンの後半戦と同じでバラつきが大きい。身体機能、自由になる時間、経済状態は多様。介護や子育てで時間に制約のある人がいる。体力や自由になる時間を考慮して、無理のない範囲で、自分で時間を決めて働くという柔軟な就労、働き方になる。たとえば、ワークシェアリングとして、二人分の仕事を5人でチームを組んでやることもやっている。このような形で事業者とマッチングすることになる。

柏市では、最初に二日間の就労セミナーを開催する。その冒頭、私から「人生100年、人生二毛作でいこう」「いままでの仕事は定年までしっかりやってきたのだから、ここでリセットしてまったく違ったことをやりませんか」との話をする。農業や教育の仕事などは人気がある。

 

<政策提言>

引退した後に働くということが、個人にとって身体機能、認知機能、社会とのつながりにどのような影響があるか、地域の産業がどれだけ活性化したか、長期的には医療や介護費をどれだけ削減できたかなどを評価してきた。その結果を出して、個人にとっても、社会にとってもこんな効果がありますよと、科学的な証拠を付けて、4年前に厚生労働省に政策提言をした。

国会で審議され法案となって、「生涯現役促進地域連携事業」を全国に広げることとなり、まずは100の自治体でモデル事業を実施することとなった。

熊本県も参加している。自治体により取組む事業の内容は異なっているが、1年に一度東京に集まり、意見交換などの交流会を開催し、よりよい取組となるよう事業のフォローアップを行っている。

 

<多様で柔軟な働き方>

働き方はまさにさまざま。近場で働く仕事を創ったのは、まず一歩外にでることを目的としたもの。農業は人気があるから「体を動かすからいいのか」と思っていたが、そうではなくて、「口を利かなくていいから」だった。言われたことを黙々とやって、賃金を貰って帰るのがいいということだった。しかし、作業をやっている途中で雨が降ったら、雨宿りをして、その時に隣に人に「どこから来ました」などの会話が広がり、交流が生じる。そして、仲間ができていく。

私が聞いて、うれしかったことがある。全然知らない5人が一緒になって、介護施設の畑の農作業に当たっていた。2年経過した頃、このチームの一人が認知症になったが、チームとしてそのまま農作業を継続していたので、チーム以外の人は気づかなかった。チーム内で仕事の割り振りを変えて調整していたことになる。認知症の人がやれない仕事を他のメンバーがして、できる作業をやってもらい、賃金も同じ額で仕事もしっかりやっている。仲間意識ができて、皆でいっしょにカバーしながら仕事をするやさしい社会だと思う。

モザイク就労というのは、「能力の違う人が3人くらい一緒になって超能力者を持った労働者をつくる」こと。一人で全部しなくて3人で協力してひとつの仕事をする。このように工夫すれば高齢者の柔軟な働き方を開発できる。

フルタイムで働くのが労働者だという固定観念を破り、子育てをしている人も、障害を持っている人も、介護をしている人も、若くして病気になり病気と付き合って生きている人も、高齢者も、みんな無理なく働ける範囲で働く、柔軟な働き方が求められており、これを実現できたら労働人口の減少は十分カバーできる。全員参加で生涯参加の社会を創ることが必要。

 

<マクロの改革>

これに加えて、マクロの面での改革も必要となる。

①年金制度の改革が必要、65歳から年金を受給できるのはいいのだが、長く働いて受給を遅らせれば、より多くの年金がもらえるようにするべきであり、アメリカではその改革が進んでいる。定年後に働くと損をするような制度は見直すべき。

②高齢者にやさしい働き場の確保も必要、バリアフリー、明るい照明の確保、ロボットやAIなど最新のテクノロジーを活用して、高齢者や障害者の能力を補完して働き続けることができる環境をつくること。たとえば、農業や介護現場では腰に負担がかかる重いものを難なく持ち上げる軽労化技術を北海道大学と三菱電機が開発した。

③常に自分を磨いていくこと。基礎的なITのスキルがないとロボットも使えない。ITはある程度は学んでおく必要がある。また、これまで人と仕事のマッチングは人がやっていたが、今後、柔軟な働き方が可能になれば、大量の高齢者が働くようになる。AIを使ってマッチングを行う仕組みを今開発している。

 

<生涯現役の日>

昨年発足した。敬老の日もあってはいいが、敬老の日よりも生涯現役の日が人生100年時代にはふさわしいのではないか。

 

<長寿社会の課題と可能性>

日本は長い間「平均寿命」を延ばすことにめざしてやってきた。皆が長く生きていけるようになったら、その次には「健康寿命」となった。どれだけ健康で長生きするか、しかし、健康で生きているだけではつまらない。皆が次に求めているのは「貢献寿命」、周りとつながって、役割を持って生きていくこと。「平均寿命」から「健康寿命」、私達の時代は「貢献寿命」の延伸。これが重要であり、めざしていきたい。

資料の59ページから60ページは、貢献寿命を延ばすための活動能力尺度。16項目。4つの分野に分かれている。

①新しい機器を使えるか

②情報収集の能力があるか

③生活のマネジメント能力はあるか

④社会参加しているか

これを自分で測定し、全部できるなら活動能力が高いということ。たな卸しをしてみて、低いと思ったら、その分野に力を入れるなどの努力をしてほしい。

セカンドライフを是非自分で設計してほしい。人生設計をもち、事情に応じて調整しながら生涯自分らしく生きていけるとよい。