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2019年11月19日(火曜日)に多様な働き方推進セミナーを開催しました!!≪セミナーの概要≫

熊本県及び熊本県生涯現役促進地域連携協議会では、多様な働き方等について考える機会を提供するとともに、高齢者や障がい者の希望に応じた新しい働き方の可能性を提案するため、「ダイバーシティが企業を支える新たな社会モデルの構築」と題して「多様な働き方推進セミナー」を開催しました。

 当日は定員(100名)を超える参加者のもと、第1部では、熊本県出身で東京大学先端科学技術研究センター・准教授の近藤武夫氏に、「超短時間雇用という新しい働き方が拓く誰もが活躍できる社会」、同じく熊本県出身で東京大学先端科学技術研究センター・講師の檜山敦氏に、「超高齢社会における高齢者が若者を支える社会モデルの挑戦」をテーマに講演いただきました。第2部のパネルディスカッションでは、パネリストに近藤武夫氏、檜山敦氏に加えて、熊本県立熊本はばたき高等支援学校校長 吉田道広氏、熊本県中小企業家同友会・障がい者雇用支援委員長 吉田周生氏を迎え、熊本大学法学部教授 熊本県社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会保健福祉推進部会・部会長 倉田賀世氏をコーディネーターに「多様な働き方の新しい社会をつくる」をテーマに議論していただきました。

【主催者あいさつ】
熊本県生涯現役促進地域連携協議会 代表
熊本県健康福祉部長寿社会局    局長 松岡正之 氏

【来賓あいさつ】
厚生労働省熊本労働局 職業安定部長 渡辺秀樹 氏

 


 

■講演1
テーマ
「超短時間雇用という新しい働き方が拓く誰もが活躍できる社会」
~IDEAモデルによる障がい者の働く場の拡大に向けて~
講師
東京大学先端科学技術研究センター・准教授
近藤 武夫 氏

・雇用がもたらすものとして、収入、社会福祉・セーフティネット(週20時間以上働くことで雇用保険に加入できる等)、社会的所属の3つがある。
・雇用に対する排除要因として日本型雇用がある。日本型雇用は長時間働く必要があり、その結果、長時間、長期間、安定して働けない人は雇用の対象にならない。また、採用時に職務定義がなく、暗黙のうちに臨機応変に何でもできる人を期待し、特定分野でできることがあっても、何かできないことがある人は雇用されにくい。これらに対応することが難しい何らかの事情(子育て、介護、疾患、障がい等)のある人々が労働社会に参加する上での厚い壁に排除されている。
・労働から排除される人々をどのようにして包摂/再包摂するか、障がい者雇用施策に残された問題として、働きたいが長時間働けない障がい者との機会格差(就労移行支援事業に存在する「週30時間の証明」)、賃金の一般就労との格差、メインストリームからの排除傾向がある。
・壁を越えるための方策として、新しい雇用モデル「超短時間雇用モデル」を東大先端研IDEAプロジェクトが産学官連携で開発してきた。超短時間雇用IDEAモデルの要件は、1.採用前に職務内容を明確に定義しておく 2.定義された特定の職務で超短時間から働く 3.職務遂行に本質的に必要なこと以外は求めない 4.同じ職場でともに働く 5.超短時間雇用を創出する地域システムがある 6.積算型雇用率を独自に算出する
・超短時間雇用モデルの社会展開として、ソフトバンク社、川崎市、神戸市、渋谷区がある
・IDEAプロジェクトが本質的目標としていることは、社会参加を軸とした地域拠点、多様な形で働くこと。縦割りを超えた移行期の併走機能を地域でつくる。個人の「働きたい」、企業の「雇いたい」を地域で支える移行支援。

 


 

■講演2
テーマ
「超高齢社会における高齢者が若者を支える社会モデルの挑戦」
~ICTを活用した高齢者就労の促進・GBER熊本版の試み~
講師
東京大学先端科学技術研究センター・講師
檜山 敦 氏

・超高齢社会問題の根源は、少数の若者層で支えようという本来無理な図式に固執していること。65歳以上の元気高齢者(80%以上)を社会の活力として期待していないが故にシニア層の活躍の場がない。目指すのは、ICTによってシニア層の活躍の場を創出するイノベーションを実現し、新しい社会の仕組みをつくること。
GBERGathering Brisk Elderly in the Region)は、地域の元気高齢者を集めることの意味で、地域における仕事・ボランティア・サークル活動などの求人のニーズと地域の社会参加を希望するシニアとのマッチングプラットフォームである。
GBERの多地域展開の状況は、千葉県柏市(一般社団法人セカンドライフファクトリー)、九州旅客鉄道株式会社(OBを対象とした予備実験)、KDDI株式会社(トクイのカケハシ 埼玉県所沢市)、熊本県(熊本県生涯現役促進地域連携協議会)、埼玉県(シルバー人材センターでのユーザビリティ評価)となっている。
・熊本県では、震災からの創造的復旧・復興を目指して、熊本県・熊本大学・東京大学先端科学技術研究センターで包括連携協定を締結した。GBERをベースにした地域シニア、障がい者の就労・社会参加の支援を通じて、災害に強いコミュニティづくりのプラットフォームとしての活用を目指している。
・どの地域の実証実験でも使い方を丁寧に教えていくことが地域に根づく鍵になるため、スマートシニアに教育普及における活躍を期待している。熊本県では熊本シニアネットの会員がGBERのマニュアル作成や講習会での講師として活躍している。
・仕事を奪うAIではなく、人と仕事、そして社会を結びつけるAI。元気シニアの活躍で、人口ピラミッドを上下逆転し、沢山の高齢者が少数の若者を支える新たな社会モデルを構築していく。

 


 

■パネルディスカッション

テーマ
 「多様な働き方の新しい社会をつくる」

パネリスト

 近藤 武夫 氏 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
 檜山 敦  氏 東京大学先端科学技術研究センター 講師
 吉田 道広 氏 熊本県立熊本はばたき高等支援学校 校長
 吉田 周生 氏 熊本県中小企業家同友会・障がい者雇用支援委員長

コーディネーター

 倉田 賀世 氏 熊本大学法学部 教授
         熊本県社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会保健福祉推進部会 部会長

倉田 賀世 氏をコーディネーターにディスカッション

●倉田 賀世 氏

障がい者の働く場の拡大に向けて、学校現場あるいは事業主という立場の観点から取り組みを進めているパネリストの皆様にも加わっていただき、障がい者、高齢者を含めた多様な働き方の推進について、議論を深めていきたい。

 

●吉田 道広 氏

県内21校の特別支援学校に2015人が在籍、そのうち、知的障がいのある児童生徒は1575人、児童生徒数の減少に関わらず、在籍数は10年間で1.35倍に増加、知的障がいのある児童生徒の在籍数は、10年間で1.47倍に増加、知的障がい者の就職者数は、平成30年度は89人、就職率32%、平成27年度と比べると就職率は9%ほど増えている。
就労先の業種は、小売・卸売、製造、介護、物流、清掃などで、以前は製造業がほとんどだったが多様化している。
雇用形態については、正社員が30%と多いが、パートも増えている。
熊本はばたき高等支援学校では、「働く力」を高め、社会に参加できるような指導を行っている。
生徒に合った職場を探そうと心がけているが、どこまでジョブマッチングができているのか、経験と勘に頼っているのではないかということも感じている、8時間にこだわらなくても働ける場を探していくことも非常に大事。

 

●吉田 周生 氏

2009年に障がい者雇用支援委員会をつくり、2011年には、企業からの障がい者雇用や実習受入などの情報を支援学校、就労支援の事業所等へ提供、今年は改訂版を作成。

今年8月、初めての取り組みとして支援学校の先生と企業経営者の懇談会を開催、高い評価をいただいたので毎年続けたい、さらに、支援学校の卒業生に特化した合同企業説明会を開催したいと考えている。

今後も同友会の中で、障がいのある方の雇用を支えていければと考えている。

就労の支援には生活の拠点、安心して暮らせる場所が必要、就労者受入のために職場としてグループホームを作り、ホームレスを雇用し仕事を提供、より多くの人たちが働ける場を創っていきたい。

積算型雇用率の考え方は、企業のメリットになると思う。

 

AIは人の居場所を奪うのではないかというイメージがあったが、講演の中の「人の仕事を奪うAIではなく 人と仕事、そして社会を結びつけるAI」というお話で、技術の進歩とともに、それを活用して、障がいを持った方や高齢者が、生き生きと働ける社会が広がっていくというイメージを持つことができた。

 

●近藤 武夫 氏

障がい者と同じ環境で学ぶことに、小学校は特別支援教育が広がっているが、中高は未だ支援体制がないというところが多い。本来は障がいがあろうと、個人の将来の夢を尊重してよりそう事が大切。そのためには、学校を卒業した後の働き方への参加が柔軟である必要がある。
また、取り組みは制度となることで個人にとっては選べる権利となる。しかし新しい制度を国全体で最初からやろうとすると現実的には難しいので、市町村や県といった地域で、個々の施策や領域の壁を越えたまちづくりの事例を積み上げていくことが大事。
課題は一言で言うと分断。
障がい者や高齢者、介護でなかなか時間が取れない方が長時間働けないので困っている。特定の業務ならできるが、それ以外の職務も求められることで適応が難しく困っている。困難さの観点から見ると障がい者も高齢者も共通している点があるが、行政面のサービスが分断。施策間で相互協力をしてサポートしあうということが難しいところもある。
障がい者と労働のイメージの断絶を越えていくためには市町村などの方策が必要だが、学校段階から分離があり、障がいに対する不慣れさや不寛容が生まれ、人々の間に分断がある、これらが大きな壁と感じている。

 

●檜山 敦 氏

取り組んでいる研究で、介護付き障がい者就労と高齢者就労と組み合わせることが可能かもしれない、熊本県の実証で試せたらいい。
もっと未来のことを考えると、ロボット技術とバーチャルリアリティ技術を使って空間を超えて社会参加ができるようになってきている。
衰えていく身体機能を補うというよりは、拡張する観点で技術の応用を考えていくことにより、生身の人間でできることを超えて、仕事に適応していくという働き方がありえるかも知れない。

高齢者だけではなく現役世代の人たちの柔軟な働き方、いわゆる働き方改革といわれているものの促進につながっていってほしい。
柔軟な働き方を導入するに当たって、今まで働く仕組みが導入されていなかった領域が動かしやすく、始めやすいかもしれない。
その一つに高齢者の就労環境については、今まで考えられてこなかった。だからこそGBERのような新しいツールと柔軟な働き方で社会参加できるようにするという新しい概念を導入しやすいと考えている。
研究のキーワードとして「モザイク型就労」と呼んでいるが、一人ひとりの能力をモザイクのピースとして組み合わせることによって、一人が全てを行うのではなく、一人ひとりのできることを組み合わせることによって 総体としてみんなが社会とつながっていられる関係を構築できるように、テクノロジーによる支援を進めて行きたい。

 

●倉田 賀世 氏

社会の中にいろいろな障壁があって、なかなか参加できない方が参加していくことは、非常に大きなメリットがいろいろな点である。
個人にとっても自分の生き方を主体的に選んで決定し、社会参加していくことは大きな意義があり、企業にとっても社会参加を進めていくということは大きな意義がある。
しかしながら、社会と結びつけるためにはマッチングの難しさ、あるいは相互の連携が必要不可欠であり重要であることが理解できた。
たくさんの方がこのテーマについて集まり、関心を持っていることから、マッチング、連携の方向性というものが熊本県においてさらに一歩でも二歩でも進むといい。